無線でつかわれる技術 (Multiple Access)

多元接続たげんせつぞく(Multiple Accessマルチプルアクセス)の仕組み

無線通信において、複数の端末が同時に通信できるようにする仕組みで、次の方式があります。 正しいイメージを選択ください。

FDMA:Frequency Division Multiple Access(周波数分割多重化)
TDMA:Time Division Multiple Access(時分割多元接続)
x
CDMA:Code Division Multiple Access(符号分割多重接続)
x

下記説明からイメージを推測ください。

FDMA:周波数分割多元接続異なる周波数の搬送波で通信します。
TDMA:時分割多元接続1つの周波数を短い間隔で交代して使うことで通信します。
CDMA:符号分割多重接続同一の無線周波数においてユーザごとに異なる符号を割り当てて合成するイメージ。 この符号で搬送波を変化させるので、それは あたかも符号をキーとして暗号化しているように動作します。

携帯電話でのこれら無線通信の使われ方

上記はすべてデジタルで送る例で示していますが、周波数分割多元接続(FDMA)はアナログでも可能です。 この方式のアナログによる携帯電話は、日本で 1G(1st Generation:第1世代移動通信システム)と呼ばれています。

そして1993年〜、これをデジタルに使う方式の2G(第2世代移動通信システム)が使われ始めました。 デジタルの使用により、時分割多元接続(TDMA)が可能になり、併用した技術が使われました。
その後、符号分割多重接続(CDMA)が実用化されて、その技術を使ったシステムは第2.5世代(2.5G)と呼ぶことがあるようです。 これを利用したデータ通信を併用し、パケット通信方式が導入されています(携帯のでのパケット課金サービスが出現)。

さて1999年に、国際電気通信連合 (ITU) が定める「IMT-2000」 (International Mobile Telecommunication 2000) 規格を勧告しました。 これは、上記の各多元接続の技術を組み合わせて規格化したもので 複数存在しますが、それに準じるシステムが3G(第3世代移動通信システム)と呼ばれます。
この規格に対応する日本の携帯電話サービスにおける通信方式名では、NTTドコモやイーモバイル、ソフトバンクモバイルが使う W-CDMA と KDDIの au が使っている cdma2000 という通信方式名が使われています。

3Gとしてデータ通信速度は下り3.6Mbps〜14.4Mbps程度ですが、大きな進化となる次世代の4Gです。
第4世代携帯電話は、50Mbps - 1Gbps程度の超高速大容量通信を実現し、IPv6に対応して無線LANやWiMAX、Bluetoothなどと連携し固定通信網と移動通信網をシームレスに利用できるものです。
対して、既存インフラを利用して、改善だけで高速化が模索され、それを実現する3.5Gや3.9Gに値するといわれる高速サービスが実現化されました。
日本では、auブランドで第3.5世代携帯電話 (3.5G)用としてCDMA 1X WIN(シーディーエムエー ワン エックス ウィン)のサービスや3.9Gの Long Term Evolution(LTE)の規格がそれです。
LTEとして、SoftBank のAXGP(TD-LTE)、KDDI(au)のLTE(FDD)などがあります。
その後にITUは市場の混乱を避けることを名目に、2010年にLTEやWiMAX、 さらにはHSPA(High Speed Uplink Packet Access)+などの3Gを発展させた規格も「4Gと呼称してよい」とされました。
(WAN回線の変遷も参考にしてください)
なお利用する周波数帯の獲得には各社での苦労がうかがえます。
例えばWiMAXは2015年に、これまで(下り40Mbpsに)の周波数の帯域を減らして、 スピード速いWiMAX2のサービス(下り110Mbps)を開始し、 その後で旧サービスの周波数の帯域を順次に減らすことで、新サービスのスピードを上げて (下り220Mbps)ような施策を行っています。

データ通信におけるこれら無線通信規格

上記の基本的な技術を利用してIEEEでは 下記の802.11シリーズなどを規格化をしています。
なお無線LANの形態は、 親機となるアクセスポイント(Access Point:以降はAPと呼ぶ)に接続して通信を行う「インフラストラクチャモード」と、 親機を使わずに直接に子機同士で通信を行う「アドホックモード」が存在します。

規格名搬送周波数変調方式・速度補足説明
IEEE 802.11a5.15-5.35GHz 5.47-5.725GHz OFDM 54Mbps OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)は、FDMAの発展型です。デジタル通信なので、変調周波数がある程度近くて帯域が少し重なっても伝達できるので、重ねて(直交)しまう考え方を取り入れています。
IEEE 802.11b2.4 - 2.5GHzDSSS/CCK 11Mbps / 22Mbps 電子レンジや医療用機器など干渉する搬送周波数です。DSSS(Direct sequence spread spectrum:直接拡散方式)と (complement code keying:相補型符号変調)方式を環境に応じて使い分けます。 この方式は CDMAと同類で、1次変調にPSK(phase shift keying)を行ってそれに符号の拡散処理を施しています。 EEE802.11a と比較して、周波数が低い分だけ伝送距離が長く、障害物の影響も受けにくい。
IEEE 802.11g2.4 - 2.5GHzOFDM 54Mbps 2003年 IEEE 802.11bの上位規格として開発され、802.11b規格の機器と組み合わせた場合は、IEEE 802.11bモードで動作可能
IEEE 802.11n2.4 - 2.5GHz 5.15 - 5.35GHz 5.47 - 5.725GHzOFDM 600Mbps 複数の無線局が、電波帯域を共有して情報を送るMIMO(Multiple Input Multiple Output)を使い、 複数のチャンネル(通信に用いられるバンド幅)を結合することで高速化を可能にしています。
IEEE 802.11ac5.15 - 5.35GHz, 5.47 - 5.725GHzOFDM 1Gbps以上 拡張されたMIMO(マイモ)の技術で、IEEE 802.11nより速い通信を実現しています。
なおIEEE802.11では、新しい規格ができるたびに、高機能が追加されてきました。
初期は、DS-SS方式だけでしたが、 801.11bでCCK方式が加わり、802.11aでOFDM方式が追加されています。
「WDS(Wireless Distribution System)」と呼ぶ無線の中継機能を有する機器もあるようです

上記のIEEE 802.11シリーズを 利用する無線機器間の相互接続性を保障するため Wi-Fi Alliance(米国に本拠を置く業界団体)によって認定された機器には、Wi-Fiロゴの使用を許可する制度になっています。

また無線通信技術で、 WiMAX(ワイマックス、Worldwide Interoperability for Microwave Access)と呼ばれる規格があります。 これは、IEEE 802.16をベースとする規格で、業界団体のWiMAX Forumにより規格標準化が進められています。 これは、もともと有線ブロードバンド環境の補間を目的に開発された無線技術です。